2009年2月某日、深夜2時にある男からの電話。
中学の頃から親交のある○山からである。
怠惰に身を任せ快楽に耽るこの時間の冒涜者、人生の厄介者にオレは度々呼びつけられるのだが、凡庸な大学生の例に洩れず、タバコを吸いながら抜いた自分の鼻毛を長さ順に整列させるほど暇を持て余していたオレは、いやいやながらも電話を取った。
「タイ行きたくね?」
この男からの誘いは毎回、
「ヘルス行きたくね?」とか
「いま家でレゲエ祭しようっちゃけど、来る?」とか
ショッピングモールの屋上駐車場でドリフトの練習につきあわされたり、
昼間っから山に二人きりでドライブに連れて行かされたりと、
全くもって支離滅裂で、邪稚極まるものであり、散々ウンザリさせられてきたのだが、今回はどうも少し様子が違う。
タイと言えば、国民は熱心な仏教徒で王朝を敬愛する、歴史ある信心深い国である。しかし、この男に歴史・風土認識に基づく人文的な関心があるとは到底思えない。
何やら危険な欺瞞をぷんぷん抱きつつも、
「一緒にタイに行くヤツなど早々いやしない!!」
と、安直な考えと惰性とに促されオレは承諾してしまった。
この男の大いなる陰謀などまだ知る由もない…
こうして、廃人2人の冒険は幕を開けた。
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