怒りが納まらないまま、気がつくと人ごみにはじき出されるように外に出るオレ。すると、ダメ押しに駆け寄ってくるオカマ。
「写真 トロ!!」
「うるせーったい!! またチップ取るっちゃろうが!! あんま調子乗んなよ!!」
すると、しょげたような意地らしい仕草をしてくるオカマ。しかしよく見ると、コイツは一番人気の『エア聖子』でおなじみの聖子ちゃんではないか!!
すると、聖子ちゃんは「いまあなたからお金をとった連中は人気のないものたちで、本当にお金に困っている。許してあげて。でも私はそんなつもりはないのに、あなたは……」みたいなことを片言の日本語でけな気に訴えてくる。
「(この子はこれだけ金持ってそうなヤツらが周りにいるのに、いかにも貧乏そうなオレを本気で気の毒に思ってくれているのか……? しかも、仲間の弁護まで進んで請け負ってくるとは……。 なんだか悪いことしたなぁ……。 いや、しかし……)」
と、勝手に都合のよい感傷的な妄想に浸っていると、聖子ちゃんは両の手で胸を寄せて、
「ここに…チョウダイ……」
と、その細いあごで胸の谷間を指してくる!!
「(いや、やはりこれは罠だ!! 人間の一番デリケートなところにつけ込む誘惑!! 悪魔の権化!! こいつは毎回惜しげもなくこういうことをしているに違いない!! 分かりきったことだ!! 馬鹿にしやがって!! 無節操で不埓な人間にも、分別や良識、それに何よりも矜持というものがあるはずだ!! いや、しかし……)」
次の瞬間、大仰な思索とは裏腹に、100バーツ紙幣を聖子ちゃんの谷間に挟み込むオレ。
「さわっていい?///」
「チョットだけ……」
あぁーっ!!また負けたぁぁーーーーーっ!!!!
聖子ちゃん
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