タイ廃人道中 Part13 ~たったった~


怒りが納まらないまま、気がつくと人ごみにはじき出されるように外に出るオレ。すると、ダメ押しに駆け寄ってくるオカマ。 


「写真 トロ!!」 


「うるせーったい!! またチップ取るっちゃろうが!! あんま調子乗んなよ!!」 

すると、しょげたような意地らしい仕草をしてくるオカマ。しかしよく見ると、コイツは一番人気の『エア聖子』でおなじみの聖子ちゃんではないか!! 

すると、聖子ちゃんは「いまあなたからお金をとった連中は人気のないものたちで、本当にお金に困っている。許してあげて。でも私はそんなつもりはないのに、あなたは……」みたいなことを片言の日本語でけな気に訴えてくる。

「(この子はこれだけ金持ってそうなヤツらが周りにいるのに、いかにも貧乏そうなオレを本気で気の毒に思ってくれているのか……? しかも、仲間の弁護まで進んで請け負ってくるとは……。 なんだか悪いことしたなぁ……。 いや、しかし……)」 


と、勝手に都合のよい感傷的な妄想に浸っていると、聖子ちゃんは両の手で胸を寄せて、 


「ここに…チョウダイ……」 


と、その細いあごで胸の谷間を指してくる!! 


「(いや、やはりこれは罠だ!! 人間の一番デリケートなところにつけ込む誘惑!! 悪魔の権化!! こいつは毎回惜しげもなくこういうことをしているに違いない!! 分かりきったことだ!! 馬鹿にしやがって!! 無節操で不埓な人間にも、分別や良識、それに何よりも矜持というものがあるはずだ!! いや、しかし……)」 

次の瞬間、大仰な思索とは裏腹に、100バーツ紙幣を聖子ちゃんの谷間に挟み込むオレ。


「さわっていい?///」 


「チョットだけ……」 



あぁーっ!!また負けたぁぁーーーーーっ!!!!


聖子ちゃん




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