タイ廃人道中 Part16 ~純潔~


ようやく列車が到着し、3等車に乗り込むオレ達。天井からプラカードがぶら下がっている『坊主専用シート』なるものに目を奪われながら、窓際の席に着席。

すると、ミニスカートとノースリーブのシャツという抜群に露出度の高い女の子が登場。「ここに座ってもいい?」と聞いているようだ。「こ、これはっ!!?」と一瞬 ものすごい圧力で肛門をひきしめ、歓迎するオレたち!!が、オレの隣にはいつの間にか しがないおっさんが座っており、ごく自然な成り行きで、極度の緊張を紳士的な振る舞いに還元させて隣席を空ける○山の隣に彼女は腰を下ろした。2分の1!! 2分の1やったのに!!

程なくして列車はファランポーンを発った。オレは口惜しさともどかしさとで仕様がなくなり○山と話す気にもなれず、即座に寝たふりを実践。しかし、不幸中の幸いとでも言おうか、オレは帽子を目深にかぶっていたため、視線を察知されることもなく辺りの状況を把握できる!! つまり、はす向かいに座るオレの方がある意味地の利が勝る(?)わけだ!! 

すると、例の女の子は何やら大学のテキストらしきものを取り出して、熱心に小鳥のさえずるようなはかない声で音読を繰り返し始めた。大学生? オレ達と同年代であろうか? 通路を行きかう物売りにも愛想よく応対し、子供達にやさしい笑みをおくる彼女。タイ人なのに透き通るような白い肌。華僑系のルーツだろうか? 化粧も必要最低限で嫌味な飾り気が全くない。バドミントンが似合うようなすらりと伸びた手足。見たまえ、これが純潔というものだ!!これこそが品位、教養というものだ!!


「ウェア アー ユー フロム?」

鼓膜も喜ぶような声で○山に話しかけてくる彼女。

「ミー? アイ ドン ノウッ!!」 

流石に無教養を通り越して失礼に値するこのような返事を放っておくわけにもいかず、流動的に会話へ入り込むオレ。

「アー ユー ゴーイング トゥ アユタヤ?」

「ヤー!! アユタヤ!!」 

「…………」


なあ、○山。お前が全力で『アユタヤ』だけは聞き取れることができてうれしかったってことは分かってる。だが、その「ヤー!!」っていう掛け声だけはやめてもらっていいかなぁ? 女の子、半ばオレたちと意思疎通するの諦めかけてんじゃねーかよ!!



<<  Part15Part17  >>


0 件のコメント:

コメントを投稿