心のオアシスを提供してくれたこの美人のお姉さんと名残惜しげに別れを告げたオレ達は、ガイドブックに載っているレンタサイクルを探すべくうろうろしていた。と、ランボーシリーズの最序盤で銃殺されそうな男が、罠を張っていた捕食者のように猛然と走り寄ってくる!!
「トゥクトゥク!! 2アワー 400バーツ!! オッケー?」
「オッケーも何もオレ達はチャリ乗るったい!! サイクリング!!」
すると、嘲笑的な笑みを浮かべた後、いきなり手の平を返して逆上する運転手。
「はぁ、チャリだと!? お前らアユタヤなめとうとや!! アユタヤは広いし、何よりチャリとかで行きよったら、トゥクトゥクに轢かれるのがオチたい!!」
と、おぼつかない英語で説き伏せようとしてくる。振り払っては言い寄ってくるこの男にうんざりしていると、先ほどの女の子が助けに来てくれた。しかしどうやら彼女もレンタサイクルについては何も知らないらしく、運転手に「彼らをちゃんとレンタサイクルに案内して、チップでももらえばいいじゃない!!」と叱りつける!
すると、観念したのか駅の反対側を指さして「あっちだ!!」的なことを言い始めた。が、男についていくとそこには『アユタヤ・トゥクトゥク協会』の会員一覧が貼ってあり、自慢げに自分の写真を指差している!!
だが、オレ達はこれ以上文句をつけようとは思わなかった。観光地の乗り物、特にトゥクトゥクなんかは長年一部の悪徳運転手が外国人相手に不当な請求を行い続けた結果、どの国のガイドブックにも「乗り物での高額請求に注意!!」と書かれ、みんなから警戒されるようになったようだ。利用客が減り続けて困っているんだろう。その生活をかけた必死さを前に、オレ達は降参するよりほかはなかったのだ……。
「まあ、値段も相場より安いくらいやし、いいよね?」
かくして、オレ達は古都アユタヤに繰り出したのであった!!
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