そのあとの2日間は、4泊5日のつもりだったのが実は5泊6日であったという致命的なミスが発覚したり、パタヤというリゾート地に行くつもりが2人共々寝坊してしまったせいで断念せざるを得なかったり、怪しげな売春宿に拉致されそうになったりと、まあ割とありがちな話しか起きなかった。と言うか、次第にこの国の放埓さに馴染んでしまったオレ達は、来たばかりの頃のように好奇な目で物事を見ることができなくなってしまったのかもしれない。
昼間っから「サムソム」という激安のスピリッツをソーダで割って、泥酔しながらテレビで「Girls Revolution」という韓国のアイドルグループに夢中になってみたり、携行したトーマスマンの「魔の山」を退屈そうに読んでみたり、大衆食堂で腹を満たして屋台でつまみを買い込んで分け合って食べたり……とそんな具合だった。
取り繕った言葉でまとめてみても何も伝わらないと思うし、またそんなことをしてみても3日後にはバカらしくなって自分の恣欲を浅ましく感じるのがオチだから、最後は愛すべき我が人生の無頼漢、生命の裏切り者、○山氏の言葉で締めくくろうと思う。
「タイが好きかって!?
いやー単純に『好き』だとは言いたくないですね。
だってあいつら、全力で金奪い取ろうとしてきますもん。
頼まれたら行ってやってもいいかなって感じです。
まあでも、タイにいるときの自分は好きですね!!」
オレ達を騙そうとした連中の図太さと、その企みの安直さに心からの羨望と敬意を込めて
=終=
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