タイ廃人道中 Part9 ~看板の先に待つ者は…~


ガイドブックで猛プッシュしてあった念願の「シーフードマーケット」に到着したオレ達。
しかし、客は誰一人おらず、従業員が日陰で思い思いの姿勢でぐだぐだしていた。

「時間の無駄だ。帰ろう。」

暗黙の了解を交わしたオレ達は、コンビニでビールを買って飲み歩きながら、建設地帯の労働者向けの屋台で焼き鳥を大量に購入して立ち込める砂埃を物ともせずに座り込み、勝手に路上で饗宴を開始。

現地人や金持ち観光客どもは、珍しい動物でも見るかのような痛々しい視線を送ってくるが、全く頓着せずになぜか二人で盛り上がるオレ達。彼らにはオレ達がどう目に映ったのであろうか……。

食欲を満たしたオレ達はBTS(高架を走る都市鉄道)の駅に到着、黒塗りの巨大おはじきのような切符を興味深げに物色しながら、プロンポーン駅へ向かった。

降りてすぐのところで、プチ日本人街を発見。見ているだけで吐き気を催すような怪しげな日本語がひしめく中を果敢に進んでゆくと、いかがわしい看板が目に入ってきた。

『タイ古式マッサージ きもていよ!!』 

「ちょっと歩いたし、フットマッサージでもしてもらおうぜ!!」 

薄暗い店内に突入したオレ達は、通路ですれ違うそこそこかわいいマッサージ嬢に猛烈に期待が高まる!!つつましげな甘い天使のような声で「サワディーカッ…」とほほ笑まれ、オレは不意に、豆腐をハンマーでたたき潰すような心象アニマを意識してしまう……。 


紹介してもらったメル友からの返信を待ち望む17歳の童貞少年のような純朴な興奮に胸を高鳴らせ指定された椅子に座って待っていると、40過ぎのババアと、直立2足歩行をしたブルドックのような薄汚い女が現れた。

「くっ、まあいい…オレ達はマッサージをしてもらいに来たんだ……」

と、愕然としてオレ達は慰め合う。唯一の救いは、おれにブルドックがあてがわれなかったことだ!! 

オレは半ズボンに着替えさせられ、椅子に座っていると、突如 ババアが覆いかぶさってくる!!

「何や!! 何しようとやって!! やめろーーっ!!」 

と、ほくそ笑みながら何かを探り始めるババア。…なーんだ、リクライニングのレバーか……。一瞬、不本意ながらババアの垂れ下った乳首を目撃してしまったオレは、なんだか情けない気分に陥り、観念して身体中の力を抜いた。




<<  Part8Part10  >>


0 件のコメント:

コメントを投稿