タイ廃人道中 Part14 ~「水の都」に思いを馳せる~


帰り道、オカマからの不条理な仕打ちと、自身の情けなさにこの旅で初めてやるかたない怒りをむき出しにするオレ。○山はオレがチップだけで600バーツも取られたことを聞くと、声高に笑い飛ばしたあと慰めのつもりか、

「オレとか路上でタバコ捨てただけで警察に2000バーツも取られたやん!! しかも調書も書かずに!! あいつら絶対着服しとうけんね!!」

などと声をかけてくる。だが、元はと言えばお前がオカマと写真を撮ろうとしたからオレが巻き込まれたんだろうが!!気休めにもならねーんだよっーー!!


翌日、オレ達は仏教遺跡が数多く現存するタイ中部の古都、アユタヤに向かった。かつては『水の都』ともよばれ、チャオプラヤ川とその支流に囲まれて東南アジア最大の交易地とされた歴史のある、王朝の遺跡である。

タイ国鉄のファランポーン駅に到着したオレ達。しかし、だだっ広い構内に座り込む何百という人に面食らい、どこで切符を買うかも分からないオレ達はインフォメーションセンターへ向かった。

が、次の列車までは2時間近く待たなければならないことが発覚。受付の女は「名案がある!!」みたいなことを口走り、オレ達を別のカウンターに連れて行った。

そこは外国人向けの観光ツアーの斡旋所で、そこの女性職員は

「5時にはアユタヤの遺跡は閉まって入れなくなる。次の列車を待ったのでは残念ながらあなた方の旅は徒労で終わってしまう。私どものツアーでは今からすぐ出発しあなた方をガイド付きで案内させてもらうどころか、ホテルまでお送りいたします。おひとり様1400バーツでございます。」

と流暢な英語で提案してきた。オレの貧弱な英語力でもそれは十分理解できたが、○山は敵意をむき出しにして相手を睨みつけているところから察すると、全くついてこれなかったらしい。オレが日本語で○山に伝えていると、

「オー、 ニッポンジン!! 急がないと寺は3時には閉まっちゃうよ!! 絶対、タクシー!!」 

と、奥の方から左右の乳輪の大きさが極端に違うということに悩んでいるような、そんな印象を受けるババアが、登場するなりいきなり日本語で声をかけてくる!!

「さっき寺が閉まるのは5時って聞いたったい!! 何ウソつきようとや!! 時間の無駄やん、行こう。」


と颯爽と立ち去る○山。個人的には最低でも初めの女性職員は十分に信頼に足る人物だと思うし、さっきの提案も一考する価値はあったと思うのだが、なんだろうこの男の毅然とした態度は!?やはり法を盾に警官から2000バーツ取られたのが相当こたえたらしい。




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